
「なんだか元気がない」「急に冷や汗と手のふるえ」——それ、低血糖かもしれません。糖尿病の患者さんを受け持つ新人看護師にとって、低血糖は頻度の高い“緊急事態”。でも、症状の段階や、ブドウ糖の量、意識がないときにやってはいけないこと(無理に食べさせない)を知っていれば、落ち着いて動けます。この記事では、日本糖尿病学会・厚生労働省の資料をもとに、血糖値ごとの症状・経口摂取できるときの対応(ブドウ糖10g)・意識障害時の対応・見落としやすい落とし穴(無自覚性低血糖やSU薬)まで、やさしく整理します。
「さっきまで普通だった患者さんが、急に冷や汗をかいて、手がふるえている」——糖尿病の患者さんを受け持つと、こんな場面に出会うことがあります。新人のころは「これって低血糖? どうすればいいの?」と、頭が真っ白になりがちです。
低血糖は、**糖尿病治療中にみられる頻度の高い“緊急事態”**です。放っておくと意識を失い、命に関わることもあります。でも逆に、症状の見分け方と、対応の手順さえ知っていれば、落ち着いて動ける場面でもあります。この記事では、日本糖尿病学会・厚生労働省の資料をもとに、血糖値ごとの症状・経口摂取できるときの対応・意識がないときの動き方・見落としやすい落とし穴を、新人さんにもわかるように整理します。急変対応に直結する話なので、最後の注意点まで読んでください。
低血糖ってどういう状態?
まず、言葉の整理から。低血糖は、血液中のブドウ糖(血糖)が少なくなりすぎた状態です。
ポイントは、低血糖は「治療をしているからこそ起こりうる」ということ。だから、インスリンやSU薬(血糖を下げる内服薬)を使っている患者さんでは、いつも「低血糖かもしれない」という視点を持っておくことが大切です。
症状は「段階」で進む——冷や汗・手のふるえは“警告サイン”
低血糖の症状は、血糖値が下がるにつれて段階的に進みます。ここを知っておくと、早い段階で気づけます。
いちばん大事なのは、「発汗・手のふるえ・動悸」といった“警告症状”の段階で気づくこと。この段階で対応すれば、けいれんや昏睡といった重症化を避けられます。「なんとなく様子がおかしい」を見逃さないのが、看護師の腕の見せどころです。
意識があるとき——「ブドウ糖10g」が基本
患者さんに意識があり、自分で飲み込めるなら、まず糖分を口から補います。ここで量とモノを間違えないことが大切です。
「ジュースを飲ませればいい」と思いがちですが、人工甘味料の飲料では血糖は上がりません。ラベルの成分(果糖ブドウ糖液糖など)を確認する習慣もつけておきましょう。
意識がないとき——「無理に食べさせない」が鉄則
いちばん怖いのが、意識がもうろうとしている/意識がない場合です。ここでの初動を間違えないことが、患者さんの安全を守ります。
「良かれと思って口に何か入れる」が、いちばん危険。意識がない=口からはNGと覚え、すぐ人を呼んで血糖を測る——この流れを体に入れておきましょう。厚生労働省の資料でも、口から取れないときの応急として「砂糖を唇と歯ぐきの間に塗る」方法が示されていますが、これはあくまで応急対応で、院内では医師の指示のもとグルカゴンやブドウ糖静注が基本です。
見落としやすい“落とし穴”
対応そのものだけでなく、その後にも注意が必要です。ここを知らないと、いったん回復しても油断してしまいます。
「回復したから大丈夫」ではなく、なぜ低血糖になったのか・またぶり返さないかまで見るのが看護のポイント。とくにSU薬を使っている患者さんは、しばらく目を離さない意識を持ちましょう。
SpO2や意識レベルと同じ——「いつもと違う」を報告する
「低血糖かもしれない」と思ったら、自己判断で様子を見ず、医師への報告(ISBARC)の手順に沿って、血糖値と症状の経過をセットですみやかに報告しましょう。
まとめ
- 低血糖は治療中に起こりうる頻度の高い緊急事態。インスリンやSU薬を使う人では常に疑う
- 症状は段階的。発汗・手のふるえ・動悸などの“警告症状”で気づくのが重要。進むとけいれん・昏睡に
- 意識があれば、ブドウ糖10g(または飲料150〜200mL)。砂糖なら倍量。α-GI服用中は必ずブドウ糖。15分で改善なければ再度
- 意識がなければ、口から入れない。すぐ応援を呼び、血糖を測り、グルカゴン・静注は医師の指示で。高血糖性昏睡との鑑別も
- SU薬はぶり返す・無自覚性低血糖・高齢者の非典型症状に注意。回復しても経過を見て報告する
低血糖は、こわい緊急事態に見えて、**「気づく・正しく対応する・報告する」**の型を知っていれば落ち着いて動けます。インスリンの単位のきほんはインスリンの「単位」とmLの違い、意識の評価はJCS・GCSの見方、報告のしかたは医師への報告(ISBARC)もあわせてどうぞ。
出典・参考
※ 数値・医療的記述は上記の一次情報・公開資料に基づいて作成しています(公開時点)。
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