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ナースの逃げ道学校では教わらない、現場の逃げ道。
Woman in hospital bed talking on phone, representing healthcare and patient communication.

ドクターコールが怖い新人へ|“で、何が言いたいの?”を卒業するI-SBARC

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Photo: RDNE Stock project / Pexels

ドクターコールが苦手で受話器を握る手が震える新人さんへ。医師への報告は「型」に乗せれば伝わります。I-SBARCの順番、バイタルを“推移”で語るコツ、依頼を言葉にする方法を、押し付けない先輩目線で解説します。


「先生に電話して状況を報告して」——そう言われて、受話器の前で頭が真っ白になった経験、ありませんか。私も新人の頃、何を話すか頭の中で整理できないまま電話をかけて、医師に「で、何が言いたいの?」と聞き返されたことがあります。あの一言、本当にこたえますよね。

でも安心してください。ドクターコールが怖いのは、あなたのセンスや度胸が足りないからではありません。報告には「型」があり、その型を知らないだけなんです。この記事では、新人さんでも今日から使える報告のフレーム「I-SBARC」を紹介します。

ドクターコールはI-SBARCの型に乗せれば伝わる
ドクターコールはI-SBARCの型に乗せれば伝わる

なぜドクターコールは怖いのか

電話が怖い理由を分解すると、だいたい次の3つに整理できます。

  • 何から話せばいいか、順番がわからない
  • 自分の判断(アセスメント)に自信がなく、伝えていいのか迷う
  • 「結局どうしてほしいのか」を言葉にできていない

逆に言えば、この3つを先に準備しておけば、電話の怖さは大きく減ります。医師も忙しく、限られた時間で状況を把握したいので、だらだら話すより、型に沿って簡潔に伝えるほうがむしろ喜ばれます。「うまく話そう」ではなく「漏れなく伝えよう」に意識を切り替えるのがコツです。

報告の型「I-SBARC」とは

I-SBARCの6ステップで必要な情報がそろう
I-SBARCの6ステップで必要な情報がそろう

医療現場のコミュニケーションでは、SBARという報告の枠組みが広く知られています。これに「最初の名乗り」と「最後の復唱確認」を足したものが I-SBARC です。頭文字の順番で話せば、自然と必要な情報がそろいます。

I(同定):まず名乗る

「◯◯病棟の看護師、△△です。◯号室の□□さん、◯◯歳男性の件でご報告です」。誰が、どの患者さんの話をしているのかを最初にはっきりさせます。ここが曖昧だと、医師はカルテを開けず、話が前に進みません。

S(状況):いちばん言いたいことを最初に

「◯時頃から発熱があり、先ほど38.9度まで上がっています」のように、結論を先に伝えます。経過を時系列で長々と語り始めると、聞いている側は要点を見失います。「今いちばん心配なこと」を一文で言うイメージです。

B(背景):判断材料を渡す

入院理由、関連する既往、内服中の薬、直近の指示など、状況を理解するために必要な背景を添えます。ここで全部を話す必要はなく、今の状況に関係する情報だけを選ぶのがポイントです。

バイタルは「点」ではなく「推移」で伝える

新人さんがやりがちなのが、今の数値だけを単発で伝えてしまうことです。「血圧90台です」だけだと、医師は「もともとそうなのか、下がってきたのか」が判断できません。

「いつと比べてどう変化したか」を一言添えるだけで、緊急度が一気に伝わります。バイタルは“点”ではなく“線(推移)”で語る——これは呼吸数などの観察でも同じ考え方です。急変の前兆を見抜く観察については、「数字に出る前の急変サイン|呼吸数を侮らない」もあわせて読んでみてください。

A(評価):自信がなくても“心配”は言っていい

「アセスメントなんて、新人の私が言っていいの?」と思うかもしれません。でも、診断を下す必要はありません。「自分が何を心配しているか」を言葉にするだけで十分です。

  • 「敗血症の始まりではないかと心配しています」
  • 「診断はわかりませんが、いつもと様子が違って気になります」
  • 「はっきりした原因はわからないのですが、念のためご相談したいと思いました」

断定する必要はなく、「〜が心配」「〜が気になる」という表現で構いません。曖昧でも、あなたが感じた違和感を伝えること自体に価値があります。

R(依頼):“診察に来てください”まで言い切る

ここが、新人さんが最も飛ばしがちなステップです。状況だけ伝えて「で、私にどうしてほしいの?」と医師に逆に聞かれてしまう——あの気まずさの正体は、依頼を言葉にしていないことなんです。

  • 「一度、診察に来ていただけますか」
  • 「◯◯の指示をいただけますか」
  • 「採血をしてもよいか、ご判断いただきたいです」

「来てほしい」「指示がほしい」を、遠慮せずはっきり言葉にする。これがドクターコールの目的そのものです。口頭で指示を受けるときは、単位や数値の聞き間違いも事故につながります。受けた指示の扱い方は「口頭指示の“単位”を聞き返す勇気」で確認しておくと安心です。

C(確認):最後に復唱する

指示を受けたら、必ず復唱します。「△△を◯mg、静脈注射で、ということですね」と声に出して確認することで、聞き間違いを防げます。電話を切る前のこのひと手間が、与薬の事故を未然に止めます。

なお、報告の手順や使う様式は施設ごとに決まっていることが多いです。この記事は一般的な考え方なので、最終的には所属施設のルールを最優先にしてくださいね。緊急時に複数の業務が重なって優先順位に迷うときは、「同時にいろいろ来たときの優先順位」も参考になります。

まとめ

  • ドクターコールが怖いのは、度胸の問題ではなく「型」を知らないだけ
  • I-SBARC(同定・状況・背景・評価・依頼・確認)の順番で話せば漏れがない
  • バイタルは今の数値だけでなく、“推移”で伝えると緊急度が伝わる
  • アセスメントは断定せず「〜が心配」で十分
  • “診察に来てください”まで依頼を言葉にして、最後は復唱で確認する

最初は手元にメモを置いて、I-SBARCの順番をなぞるだけでも大丈夫です。私も電話の横にこっそりカンペを貼っていました。型に慣れれば、震えていた手も少しずつ落ち着いてきますよ。次は、報告のきっかけになる急変サインの見抜き方も読んでみてください。

#ドクターコール#報告#I-SBARC#新人看護師#コミュニケーション

出典・参考

※ 数値・医療的記述は上記の一次情報・公開資料に基づいて作成しています(公開時点)。

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