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「ナースコールを押してね」が機能しない患者さんがいます。認知機能低下やせん妄、自分でできると思い込む人の見極め方、夜間・トイレに偏る転倒の傾向、頭部打撲後の観察ポイントを、医療安全情報をもとに新人さん向けにまとめました。
転倒・転落の対策で、新人さんがまず教わるのが「ナースコールを押してもらいましょう」です。でも現場に出るとすぐ気づきます——コールを押してくれる人は、そもそもあまり転びません。問題は「押してね、と言っても押せない/押さない人」をどう見極めるか、です。
この記事では、「コール押してね」が効かない患者さんの特徴と、転倒が起きやすい時間帯・場所、そして転んでしまった後(特に頭部打撲)の観察ポイントを整理します。日本医療機能評価機構の医療安全情報でも、転倒・転落は繰り返し報告されている事故のひとつです。
「コール押してね」が機能しない人がいる
「何かあったら呼んでくださいね」という声かけは、相手が**「呼ぶ必要がある」と判断できて、かつ「呼ぼう」と思える**ことが前提です。この前提が崩れている人ほど、転倒リスクは高くなります。
代表的なのが次のようなタイプです。
- 認知機能が低下している人:そもそもコールの存在や使い方を覚えていられない。手元にあっても押せない。
- せん妄が出ている人:夜間に急に「家に帰る」「トイレに行く」と動き出す。説明した直後でも忘れてしまう。
- 「自分でできる」と思い込んでいる人:本当は介助が必要なのに、遠慮や自尊心から呼ばずに自力で動こうとする。
- 聞こえにくい・伝わりにくい人:説明が届いていない、理解したように見えて理解していない。
「移乗介助レベル」の人ほど危ない
意外かもしれませんが、完全に寝たきりの人より、自分で少し動ける人のほうが転びやすいことがあります。立とうとする力はあるのに、支える力が足りない——この「中間」の人が、コールを押す前に動いて転ぶのです。
- 一部介助で移乗している人が、夜にひとりで立とうとする
- 「ちょっとそこまで」と本人が思っている距離が、実は危ない
- 点滴台や床頭台につかまろうとして、支えにならず転ぶ
「介助が必要なのは本人も分かっているはず」と思い込まず、動けてしまう人ほど目を配る意識が大事です。
また、日中はスタッフの目があって落ち着いている人でも、夜になると様子が変わることがあります。日中の様子だけで「この人は大丈夫」と決めつけず、勤務帯ごとに見方を更新していくと、リスクの取りこぼしが減ります。
時間帯と場所には偏りがある
転倒・転落は、いつでもどこでも均等に起きるわけではありません。傾向を知っておくと、観察の的が絞れます。
夜勤帯にこうした条件が重なる人がいたら、ラウンドの優先度を上げる、トイレのタイミングを先回りして声をかける、といった**「待つ」より「先に動く」**対応が効きます。
転んでしまった後の観察——特に頭部打撲
どれだけ気をつけても、転倒はゼロにはできません。大切なのは「転んだ後にどう観察するか」です。特に頭をぶつけた可能性があるときは、時間をおいて症状が出ることがあるため、その場だけで判断しないことが重要です。
頭部打撲後に注意したい変化の例です。
- 意識レベルの変化(呼びかけへの反応が鈍くなる、いつもよりぼんやり)
- 嘔吐、強い頭痛
- 手足の動かしにくさ、ろれつが回らない
- 瞳孔の左右差、けいれん
転倒を発見したら、まず本人の安全を確保し、バイタルと意識・痛み・打撲部位を確認して、速やかに先輩や医師へ報告します。「大したことなさそう」でも、後から状態が変わることがあるので、報告と記録は省かないでください。
まとめ
- 「コール押してね」は、押せる人にしか効かない。認知機能低下・せん妄・“自分でできる”と思う人の見極めが先
- 移乗一部介助レベルの人ほど、押す前に動いて転びやすい
- 転倒は夜間・早朝、ベッド周り・トイレに偏る。先回りの声かけが効く
- 頭部打撲後は時間差で症状が出ることがある。抗凝固薬内服者は特に慎重に
- 観察項目やラウンドの頻度は施設のルールが最優先
転倒対策は「観察で先回りする」ことが核心です。患者さんの小さな変化に早く気づくという意味では、呼吸数から急変の予兆を読む話や、忙しい中での優先順位の付け方も合わせて読んでみてください。
出典・参考
※ 数値・医療的記述は上記の一次情報・公開資料に基づいて作成しています(公開時点)。
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