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ナースの逃げ道学校では教わらない、現場の逃げ道。
A nurse in blue scrubs checks the blood pressure of a female patient in a hospital room.

疼痛評価スケールの使い分け|NRS・VAS・フェイススケールと記録のコツ

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Photo: RDNE Stock project / Pexels

痛みは目に見えないからこそ、スケールで「ものさし」をそろえることが大切です。NRS・VAS・フェイススケールの基本、認知症や小児で評価が難しいときの考え方、誰が見ても伝わる痛みの記録のコツを、新人さん向けに整理しました。


「痛みはどれくらいですか?」と聞いたとき、「うーん、まあまあ…」と返ってくると、新人のころは記録の手が止まりました。「まあまあ」って、3なのか7なのか。人によって基準がバラバラだと、痛みが強くなっているのか落ち着いてきたのかも、引き継ぎで伝わりません。

痛みは本人にしか分からない、目に見えない感覚です。だからこそ、みんなで同じ「ものさし」を使うことが大切になります。この記事では、代表的な疼痛評価スケールの基本と、使い分け、そして記録のコツを整理します。

痛みは本人の言葉を、共通のものさしに乗せて記録する
痛みは本人の言葉を、共通のものさしに乗せて記録する

なぜ疼痛評価にスケールを使うのか

痛みは主観的なものです。同じ刺激でも、人によって感じ方は違いますし、同じ人でも体調や状況で変わります。だから「痛いですか?」「はい」だけでは、ケアの判断材料としては弱いのです。

スケールを使う目的は、ざっくり次の3つだと考えると分かりやすいです。

  • 数値化して共有する:誰が聞いても同じ尺度で、痛みの強さを記録・伝達できる
  • 経過を追う:鎮痛薬の前後で痛みがどう変わったか、時間でどう推移したかを比較できる
  • 過小評価を防ぐ:「我慢強い人」「訴えない人」の痛みを取りこぼしにくくする

大事なのは、スケールはあくまで本人の感覚を映す道具だということ。看護師が「これくらいだろう」と決めるものではありません。

代表的な3つのスケール

よく使われる評価スケールには、それぞれ向き不向きがあります。患者さんの状態に合わせて選びます。

NRS(数値評価スケール)

「痛みがまったくない状態を0、考えられる最大の痛みを10としたら、今はいくつですか?」と0〜10の数字で答えてもらう方法です。口頭でも聞けるので、道具がなくても使いやすく、臨床で広く用いられています。

VAS(視覚的アナログスケール)

一本の直線を見せて、左端を「痛みなし」、右端を「最大の痛み」として、今の痛みの位置に印をつけてもらう方法です。線の長さから痛みの強さを読み取ります。連続的に細かく表せる一方、線を見て理解する必要があります。

フェイススケール(表情で表す)

にこやかな顔から泣き顔まで、いくつかの表情のイラストを見せて、今の気持ちに近い顔を選んでもらう方法です。数字での表現が難しい人にも直感的に伝わりやすいのが特徴です。

言葉で評価しにくい人をどう見るか

スケールは便利ですが、「数字で答える」「線を見て理解する」ことが難しい人もいます。代表的なのが、認知症のある方や、まだ言葉での表現が難しい小さなお子さんです。

言葉で「10です」と言えない人ほど、痛みが見過ごされやすいとも言えます。「訴えがない=痛くない」ではありません。普段の様子との違いに気づくことが、評価の出発点になります。どのスケールや行動観察ツールを使うかは施設で定められていることも多いので、自施設の手順に従って選んでください。

痛みは強さだけでない——記録のコツ

強さ・部位・性質・経過をセットで残すと伝わる
強さ・部位・性質・経過をセットで残すと伝わる

「NRS 7」とだけ書いてあっても、後から読む人には半分しか伝わりません。痛みは強さだけでなく、いくつかの側面をセットで残すと、ぐっと伝わりやすくなります。

  • 強さ:使ったスケールと数値(例:NRSで○)
  • 部位:どこが痛むか(「お腹」より「右下腹部」のように具体的に)
  • 性質:ズキズキ・締めつけられる・刺すような、など本人の言葉
  • 時間経過:いつから、持続的か波があるか
  • 増悪・軽快因子:動くと痛む、安静で楽になる、など
  • 対応と効果:鎮痛薬や体位変換の前後で数値がどう変わったか

特に意識したいのが、鎮痛のケアをした後の再評価です。「投与前NRS○→○分後NRS○」のように残すと、効果が見えますし、次の判断にもつながります。本人の言葉を「 」でそのまま引用しておくのも、ニュアンスが伝わって有効です。

引き継ぎでこうした痛みの情報を簡潔に渡すコツは、申し送りメモのまとめ方もあわせて読むと整理しやすくなります。

「いつもと違う痛み」は急変のサインかも

最後に大切なこと。痛みの評価は、単に強さを測るだけが目的ではありません。「いつもと違う痛み」が、体の異変を知らせるサインになることがあります。

  • これまでなかった場所の急な痛み
  • 鎮痛薬が効かない、どんどん強くなる
  • 痛みに加えて、バイタルや顔色、呼吸の変化がある

こうしたときは、スケールの数字をつけて満足するのではなく、速やかに先輩や医師へ報告してください。痛みの変化から体の異変を読む感覚は、呼吸数から急変の予兆を読む話とも通じます。

まとめ

  • 痛みは主観的だからこそ、共通のスケールでものさしをそろえる
  • **NRS(数字)・VAS(線)・フェイススケール(表情)**を、患者さんに合わせて選ぶ
  • 一人には同じスケールを継続して使い、使ったスケール名も記録する
  • 認知症や小児など言葉が難しい人は、表情や行動の観察も手がかりにする
  • 記録は強さ・部位・性質・経過・対応の効果をセットで。ケア後の再評価を忘れない
  • 評価方法や使用ツールは、最終的に自施設の手順を最優先

痛みは「我慢するもの」ではなく、ケアで和らげていくものです。スケールという共通言語を持つと、患者さんの「つらさ」をチームでちゃんと拾えるようになります。まずは、いつも同じ聞き方・同じものさしで尋ねることから始めてみてください。

#疼痛評価#観察#記録#新人看護師#アセスメント

出典・参考

※ 数値・医療的記述は上記の一次情報・公開資料に基づいて作成しています(公開時点)。

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